外国人の技能者登録についてのお問い合わせを多くいただくようになってきました。外国人労働者も建設キャリアアップカードを持たなければならないのか?持たないと仕事ができなくなるのかという内容がほとんどです。
外国人の労働者側・雇う事業者側の両方からお問い合わせを受けますね。
そこでこのカードを外国人が持たないと起きる不都合・デメリットとその逆に持つことによって得られるメリットをお伝えします。併せて外国人労働者や雇い主がこのカード取得の申請を行うにあたっての注意点などを説明しますね。
外国人労働者に対する建設キャリアアップカード義務化への動向について
国土交通省において外国人技能実習生に対する建設キャリアアップカード取得の義務化の検討がされています。日本人労働者の建設業離れ・労働者不足を補ってくれている外国人労働者の処遇改善・労働条件の公平性確保が目的です。
外国人労働者の勤務実績や取得資格を見える化して日本人との格差がないようにしていく狙いです。昨今話題となっている外国人技能実習生の失踪、日本人との処遇格差の不満による就労希望者の減少などの歯止めや不法就労の防止への施策とも位置付けてます。
しかしながらほんとうに処遇改善などに結び付くのか疑問視する声や反対意見もかなりあります。
流動性もある外国人労働者に対して多額の費用を投じてカードを取得取得する効果がどれほどであるか疑問視する声もあり、全国建設業協会などからの反対意見もあります。ですので現時点では最終的にほんとにどのようになるのかは確実には申し上げられません。
勿論、今現在において取得は強制ではありません。ですが国土交通省の公式サイトによれば令和2年から義務化を実施するとの告示があるので所持必須と考えたほうがよいことにはなりますね。そうなると好む好まざるに関わらず取得しなければ仕事に就けなくなる若しくは就きにくくなるでしょう。
カードを持たないことによるかなりの不都合・デメリットが間違いなく生じてしまうわけですね。
そうであれば取得したときのメリットを良く知り得て早期に取得して都合よく付き合いはじめるのが得策のようです。
外国人が都合良く建設キャリアアップカードを使う為のポイント
先ず、とにかく知っておいていただきたいことは建設キャリアアップカードは日本国内建設業界における電子化された
パスポートのような存在であるということです。
取得資格・職務経歴・教育研修受講実績・社会保険加入状況など建設業界で働くときに伝えるべき内容が磁気データとしてすべてカードに収まってます。
不自由な日本語で自分自身のことを説明したり、いちいち資格証・保険証・運転免許証などを提示しないで、このカードを
駅改札のようにカードリーダにピッと翳せば、
どの国籍の人でも一発で雇い主や事業所にご自身のことが伝わるわけです。
雇う側の方にとっては監理が異常に楽になりますね。
これが最高に便利で都合の良い点ですよ。
義務化され、見える化されることにより窮屈な感じもするし取得には出費や申請する労力がかかりますが、
その分、公平性や身分が守られます。
街中を移動するとき、赤信号でいちいち止まるのはちょっとかったるくて交通ルールに縛られていて面倒と思うけど、それによって事故を回避し自分の安全も守られているのと似てますね。
不自由な日本語での説明も要らない身分証明書として、そして建設業界の交通カードのようなイメージでとらえていただくことがポイントです。
サクサクと都合よく使って活躍していただきたいです。
外国籍労働者における建設キャリアアップシステムカードの国内外の適用範囲と申請時の注意点
国内外の適用範囲
建設キャリアアップシステムは日本国内の建設業界に特化した仕組みです。
建設キャリアアップシステムカードは
海外では使えません。
しかし海外から来た外国人技能者は使えます。どの国でも使えるわけじゃないけど
どの国の人であっても
日本国内ではどこででも使えるというわけですね。
大手建設会社さんですと海外拠点を展開されたりしますね。その場合は自社現場の領域で有効な場合があるかと思います。
どの国の方々にも広く開かれたカードとなってますよ。
私たちの審査部署にもあらゆる国の方々が申請されてきてます。私の住むマンションでいま、外壁補修工事をやっております。ベトナム、フィリピンの若い技能者の方々も沢山おられて、日々活躍されてますね。
築20数年で綻びた外壁の修復作業に賢明に取り組まれてて頭下がる思いです。
私が低層階の玄関近くに住んでいることもあって、良く顔を合わせて親しくなった数人の方に建設キャリアアップシステムカードのことを聞いてみました。
みなさん知らないということです。
やはりまだ知らない人が多いのですね。
その中で一人が、仲間で建設キャリアアップシステムカードの申請をしようとしている人がいることを教えてくれました。
何を揃えたらよいのか
手続き方法が日本語だとわからないとも話されていたようです。
基本的に日本人と同様に申請書と本人確認書類・保険証などの社会保険加入状況を証明する書類・資格証のコピーを同封していただければ問題ないです。
できれば所属されている事業所の管理責任者の方や専門のご担当者取りまとめで
一括でカード申請・取得をしていただければスムースかと思います。
外国人労働者に限って必要となる申請書類
申請にあたっては上記のものを揃えていただければ良いのですが、本人確認書類として、在留カードか特別永住者資格証のどちらかのコピーが必要になります。
もしこれらがなければパスポート(名前はアルファベット)のコピーと健康保険証・国籍・在留期間が明記された住民票などをご用意ください。顔写真なしではあるけれども日本国内における公的な身分証明書コピーを送っていただくというわけですね。
ここが日本人の申請と異なる部分です。
申請時に良くある間違い
個人で申請されてくるが外国籍の方で、パスポートや在留カードそのものを郵送されてくるケースがあります。
日本人の申請者でも実物の免許証などを同封されてくることは稀にあります。ですが外国籍の方にかなり多いですね。
ご本人と連絡をとって慌てて返送するのですが、聞いてみますと、窓口申請と郵送の違いがわからないという方が数名おられました。窓口ですとご本人が直接行かれるので実物を提出でOKですからね。
郵送のときは本人確認証や資格証は必ずコピーを送っていただけるようお願い致します。
また祖国の運転免許証コピーはNGですよ。
こちらも送付されてくるケース散見するので申し添えますね。
事業所のご担当者などが周知・確認をしていただきお間違いがないようにしていただければありがたいです。
外国人就労監理システムとの連携
主として、外国人労働者を監理する立場の方への追加情報となりますが、令和元年6月に国土交通省から外国籍の技能者に対する適切な労働環境の提供と就労監理を目的とした、外国人就労監理システム計画が発表されましたことも参考までお知らせしますね。
技能者が持つ技術力・語学力等を適正に認定・管理するとともに外国人留学生の資格外活動問題(週28時間以上の労働)や定まった滞在期間からはみ出た不法滞在や失踪、所定現場と異なる場所での違法就労を阻止する仕組みです。
データ管理機能とアラート機能が備わり、マネジメントの効率と精度向上につなげることが狙いで
建設キャリアアップシステムと連動したシステムとなります。
在留外国人を雇用する事業所における管理業務の片腕となる存在と思いますので、このことも知っていただいた上で建設キャリアアップシステムを大いにご活用くださいね。
まとめ
外国籍の方も勿論、日本国内の建設業界で活躍するのであれば大いに威力を発揮するカードなんですね。事業所においてもこれからは益々外国籍の方々の労働力に依存することが多くなっていくことかと思います。外国籍の労働者のみなさまが正しく申請していただき是非とも有効活用して技能者個人のキャリアアップと事業所における管理効率の向上に繋げていただきたいと思います。
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